やつ(俺)と俺の会話
「今日も新しい一日が始まっちゃったね」
ため息まじりにつぶやく。やつはそのかけがえのない事実を受け止めたくない。
「毎日が遠足前日のような気分ではいられないもんだな」
俺はその気分につられてそんなことを言う。
「遠足の前ってそんなに晴れやかな気分だったかな」
少年時代のことは知らないけど、やつはそういう冷めたとこがある。
「授業受けずに遊んでられるってだけで嬉しかったけど」
俺はフォローを続けてみる。
「団体行動は苦手だな」
やつは平気で仕事仲間にもそういうことを言う。
「学校ってのは社会性を身に着けさせようとするからな」
俺はなおもフォローする。
「学校がなかった頃の社会のが絶対に面白いよ」
そう言って、やつはニヤリとする。
「それは間違いないね」
俺もニヤリとする。
「まぁ、本日もちょっと頑張りますか」
少し顔を上げて、やつは立ち上がる。
そんなこんなで一日が始まった。