ラストギグ

急遽、仕事がなくなって、弟のバンドのライブを観に行く。
弟は、このライブを最後に、7年近くやってたバンドを辞める。
明日からはもうバンドマンじゃあなくなる。そんなライブ。


路地の地下にある狭いライブハウスは満員だった。
気合の入ったステージが始まった。ロックが鳴り響く。
何回か観たその光景を、やっぱり俺は、羨ましいと思った。


弟は、途中、促されて最後のMCをする。
あと3曲。バンドは張り詰めたテンションを爆発させる。
ライブは終局に向かって雪崩れ込む。


兄弟てのは、なんか分身のようだ。
違うことやってても、同じモノをなぞっているような。
手に取るように、その感覚が分かるときがある。


ライブが終わった。弟のバンドが終わった。
俺は何かが分かった。終わりは始まりだということ。
そんなようなこと。観に行って良かった。


明日からも頑張ろうじゃないか。